本田宗一郎『やりたいことをやれ』第三章 能ある鷹はツメを磨け

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本書の第三章では、ホンダが世界に向けて独自のブランド戦略を展開していった経緯が記されている。

この章の表題の通り、『能ある鷹』であるホンダはツメを磨き上げ、世界の舞台へと挑戦していったのだ。

私は、この時のホンダの戦略話がとても好きだ。

いつの時代でも、一つのことをやり遂げるには創意がいる。工夫がいる。そして、失敗を恐れない勇気が必要だ。失敗を深刻に反省するところから成功は生まれるのだ。ー引用ー

日本には昔から謙遜・謙譲が美徳とされる風習があるが、本田宗一郎氏はそれを一蹴する。

だからこそ、第3章の表題は、「能ある鷹はツメを隠す」ではなく、『能ある鷹はツメを磨け』なのである。

失敗を恐れず、大いにツメを磨いて、その能力を表すことを社内でも促していたそうだ。

そんな素敵な言葉が出てくる理由は、本田宗一郎氏の人格に由来するものが大きい。

同氏は、極めて平凡で単純なことをとても大切にしていて、「徳を持つ」とか「人に好かれる」努力を惜しまなかった。

これは、人間として、そして、会社人としての基本であると同氏は考えていた。

他者の立場や気持ちを考えなが仕事を進め、周囲の人たちから可愛がられ、協力してもらえるように努力した。

その最たる例が、同氏が語る『便所の話』である。

新しい工場のレイアウトを考える時、まず最初に従業員みんなが使う便所の位置から検討、誰からも公平な距離にある位置に据えた。

そんな同氏の細かい配慮や思いやりに従業員は、皆、着いていったのだ。

そして、本田宗一郎氏は、「技術の根本は礼儀」であると語っている。

科学や技術を探究し、研究するのは、人間の幸せのためだと考え、そのような思想が創意工夫を生んだのだ。

「仕事も大事だけれど、人間関係があってこそ、仕事が成り立つんですからね。どっちが上かと言えば、人間関係ですよ。」

その通りである。

能力や実力や才能の前に、人間としての礼節を持っているのか?が重要視されるのが当たり前だと私も思う。

そんな本田宗一郎氏は、ビジネスにおいても、加護や特別扱いが大嫌い!

同氏は、ビジネスはフェアであることが双方が幸せになれるルールであると感じていた。

昭和20年頃、日本で初めて自由化を迫ったのがオートバイ。

本田宗一郎氏自ら通産省に行って、「オートバイの輸入を許可しろ」と頼みこんだのだった。

当時、多くの経営者が「国によって守られること」を賞賛した時代・・・

そんな時代にリスク覚悟でオートバイの輸入自由化を迫ったのである。

しかし、その発言の裏側にあったのは、「商売はフェアであるべきだ」という思想、そして、「自分たちに実力があれば、何も恐れやしない」という確固たる自信であった。

本田技研は商社の手を借りずにダイレクトに海外市場を獲得した。

その時も勇敢なパートナーになってくれたのは、藤沢武夫氏であった。

会社経営というのは、物を作るのと売るのと2つの側面があるが、本田宗一郎氏は、物を作るのは得意だが、資金の回収は大の苦手であった。

オートバイの資金回収が思うように出来ず、利益が上がらないことに悩んでいた時期に藤沢氏に出会った。

翻って、藤沢氏は、物作りに関してはからきしダメ・・・

・・が、資金を回収する、資金を回転させる、また、負債をどう乗り越えるか、といった知識はずば抜けていたのだった。

これが、本田宗一郎氏と藤沢武夫氏の名コンビスタートの時期である。

「過去は弁護士にまかせよ」

海外市場獲得を目指した時の藤沢氏の名言がこれである。

「焦げ付きなどのリスクを心配するより、新しい販売店獲得に力を入れろ!能力あるものは、未来に取りかかれ!焦げ付きなどが起こったら弁護士にまかせよ!」と言って、会社内に流れるリスクに対する恐怖心を取り去り、社員の積極性を引き出した。

本田宗一郎氏もまた藤沢氏の手腕を賞賛した。

ホンダの海外進出においては、藤沢武夫氏の存在なくしては、語れないストーリーがたくさんあるようだ。

本田技研が海外進出をする時、資金繰りの他に、もうひとつ強い意志で臨んだものがある。

それは、自社ブランドを守り抜くこと

これに対して心底、強い意志でリーダーシップを取ったのも、また藤沢武夫氏であった。

当時、アメリカの商事会社からバイヤーブランドで何万台買いたいという発注があったそうだが、資金繰りが決して楽じゃない状態でもその発注を受けずに、担当者をアメリカに派遣してホンダ独自で市場を開拓した。

このやり方が世界にHONDAブランドを確立した所以であった。

人間の努力は、いつでも最良の結果を生むとは限らない。

努力という球を投げて、必ずしもストライクかどうかはわからないのである。

それが仕事である場合は、なおさら、「努力したが結果はダメでした」では努力したことにならないのだ。

努力を努力として価値を付けるには、そこに創意と工夫が必要である。-引用ー

能ある鷹はツメを磨き、常に創意工夫して、その能力をどんどん表に表すべきなのだ。

そのようなやり方を社内に取り入れていたからこそ、皆が能力というツメを磨き上げ、それぞれが適材適所で能力を表すことができたのだろうと私は思ったのだった。

 

 

 

 

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